前回の記事
アナログ防犯カメラをLANケーブルで配線する
で書いたように今までBNCケーブル(同軸ケーブル)で配線していた
アナログカメラを
防犯カメラ LANコネクター Balun
で接続することでLANケーブルで配線できるようになりました。
これを読んで、
「なんだ接続用のコネクタ(端子台)とかでLAN内の線をBNCに結線すれば、
わざわざ防犯カメラLANコネクタなんて使わなくても接続・配線できるんじゃないの?」
と感じたかもしれません。
ですが、確かに映る事には映る場合もありますが、映像品質は不安定で
延長距離が長いほど顕著に悪化します。
原因は特性インピーダンスと伝送方式(平衡・不平衡)が下記のように違う事に起因します。
BNCケーブル(75Ω):不平衡
LANケーブル(約100Ω程度):平衡
つまり種類が違うケーブルをむりやり繋いだので、ケーブルの接続箇所で
反射損失 (return loss)
が起こり、映像データが送信元から受信元に適切に届かなくなる事が原因です。
これを下記写真のようにBalunコイルを使用して解決します。
Balunとは平衡と不平衡の状態にある電気信号を変換するための素子をさしますが、
業者さんは「防犯カメラLANコネクタの商品」をそのままバラン(バルン)と呼んでいることもよくあります。
ちなみに
「balun」=平衡-不平衡変換器
という意味で平衡(balanced)と不平衡(unbalanced)の頭文字を合成した造語
同じ種類のケーブル同士であれば、減衰はありますがインピーダンスが同じなので
このような変換アダプタを使わなくても延長ができます。
また、なぜこのようなBNCをLANに変換する商品があるかというと
単にBNCケーブル(RG59)よりもLANケーブルのほうが単位長さあたり安いというのが
一番の理由だと思います。
また、BNCケーブルは長距離伝送には不向きですが、
LANケーブルの場合は、
映像の伝送距離が約300m程度までリピータ-(増幅器)等なしで延長が可能になります。
(あくまで映像伝送の場合です。電源は電圧降下が起こるためこうはなりません)
なので、長距離の映像転送の必要があった場合に
この防犯カメラLANコネクタを使って、LANケーブルで安く伝送する事が可能になります。
もし、そのような際には、今回説明した方法も検討してみてください。
※反射損失(反射減衰量)= Return Loss について
高周波回路(反射が起きるような接続点)に
入力される電力の平方根 (入射波) をa1
反射された電力の平方根 (反射波) をb1
とすると、接続点における反射損失RL(Return Loss)は
となります。また、特性インピーダンスZ0と、入力インピーダンスZLとの間に、
a1=ZL+Z0
b1=ZL-Z0
の関係があるので、下記のようなインピーダンスの式に直せます。
つまり、接続点(境界面)において伝送路の
インピーダンスの差が大きくなる⇒RL(反射損失)が大きくなる
ということになります。